オフィス移転・機種入替で出たトナーの現金化

オフィスの移転や複合機・プリンターの機種入替は、企業運営において定期的に発生する業務のひとつです。しかし、そうしたタイミングで必ずといっていいほど発生するのが 「使わなくなったトナーの在庫」 です。
特に複合機のリース契約では、途中で機種が変更されると互換性がなくなり、まだ未開封・新品のトナーであってもそのままでは使用できなくなります。廃棄するにはコストがかかり、社内で抱え続けても余計な場所を取ってしまいます。この課題を解決する方法として、トナーの現金化が有効です。
この記事では、
- 移転や機種変更でトナーが余る理由
- 現金化できるトナーの種類
- 買取の流れと選び方
- 高く売るためのコツ
などを解説していきます。
オフィス移転・機種入替でトナーが余る原因とよくある課題
オフィス移転や複合機の更新は、複数の部門が関わる大きなプロジェクトです。そのなかでトナーが余ってしまう理由としては、次の通りです。
機種変更に伴い型番が変わる
メーカーは同じブランドでも機種ごとに異なるトナーを採用しています。
そのため、同じメーカー内の後継機でも 旧機種で使っていたトナーは新機種では使えない ケースがほとんどです。結果、在庫としてストックしていたトナーが“一括で不用品になる”ことが発生します。
移転直前に発覚する在庫の存在
大きな企業や支社のある会社では複数の担当が関わるため、「誰が在庫管理していたのか」分からない場合も珍しくありません。移転準備で備品棚を整理した際に、「未開封の純正トナーが何十本も出てきた」ということもありがちです。
リース契約終了のタイミングと在庫が噛み合わない
複合機のリース契約は通常5~7年程度。
長期間の契約であるほど、現場では
- 予備として多めにトナーを注文していた
- 予算消化でまとめて購入していた
という背景があり、契約終了時点で大量に残っていることがあります。
廃棄にはコストがかかる
使用済みトナーと異なり、未開封のトナーは「産業廃棄物扱い」になる場合があり、廃棄を専門業者に依頼すると1本あたり数百円〜のコストが発生します。移転時はただでさえ費用がかさむため、「できるだけ廃棄コストを減らしたい」という事情も企業側には重要です。
機種入替・移転時にトナーを現金化するメリット
トナーの買取サービスを利用する企業が増えている理由は、単に“お金に変わるから”だけではありません。以下のような複数のメリットがあります。
在庫を現金化できる
最大のメリットは当然ながら不要なトナーを売って企業の利益に変えられることです。
特に純正トナーは需要が高く、人気メーカーであれば中古市場での売れやすいため、まとまった価格がつきやすくなります。
相場としては、
- 純正トナー:数百円〜1万円以上
- 大型複合機のトナー:高額になりやすい
- 旧型や在庫過多品:下がる傾向
廃棄コスト・労力を削減できる
移転時に大量の備品を処分するだけでも大変です。
トナー専用の廃棄業者を呼ぶ手間や費用もかかります。
現金化を選べば、
- 廃棄費用がかからない
- 梱包して送るだけ(宅配買取)
- 来てもらうだけ(出張買取)
と、担当者の負担が大きく軽減されます。
企業としてエコ・CSRの取り組みとして評価される
本来廃棄されるはずだった新品トナーが、必要とする企業の手に渡ることは廃棄削減につながり、企業のCSRの観点からも価値があります。
最近では、
- 環境への配慮
- 廃棄削減
- 資源循環
を重視する会社が増えているため、「再利用される選択肢を取る」こと自体の注目されるようになっています。
現金化可能なトナーの種類と取り扱いメーカー
「どんなトナーでも買取してもらえるの?」そう疑問に思う担当者も多いでしょう。結論として、現金化の対象になるのは基本的に未開封のトナーです。では、どの種類が評価されやすいのかを解説していきます。
買取対象となるトナーの種類
買取対象は次の3つに大別されます。
1. 純正トナー(OEM純正)
最も高価買取になりやすいのが純正トナーです。
メーカーが自社機種用に生産しているため需要が安定しており、常に買い手がつきます。
例:Canon、EPSON、RICOH、富士フイルム、Kyocera など
2. 汎用トナー(互換トナー)
メーカー純正ではありませんが、対応機種に適合するよう作られたサードパーティ製のトナーです。ただし、純正ほど高額にはなりにくく、メーカーや型番によっては買取不可の場合もあります。
3. リサイクルトナー
再生トナーとも呼ばれ、空カートリッジを回収・清掃し、中身を再充填した製品です。
こちらも買取できるケースはありますが、保存状態が悪い・型番が古過ぎるなどの場合は不可となることも多いです。
主要メーカーとオフィス向け機種の特徴
買取市場ではメーカーによって需要が大きく異なります。
代表的なオフィス機器メーカーの特徴を簡単にまとめると以下の通りです。
・Canon(キヤノン)
日本国内で最も利用者が多いメーカーの一つ。
複合機の導入台数も多いため、純正トナーは特に需要が安定しており、買取市場でも強い人気があります。
・RICOH(リコー)
大企業・官公庁でも広く採用されているため、流通量も多く買取対象になりやすいです。
・富士フイルム(旧・富士ゼロックス)
業務用複合機として根強い人気があり、中古市場での評価も高めです。機種ごとの互換性が特殊なため、状態の良いトナーは貴重です。
・EPSON(エプソン)
中小企業やオフィスでのプリンター・複合機導入が多く、家庭用モデルも強いメーカーです。
ただしインクジェット系は評価が分かれます。
・KYOCERA(京セラ)
耐久性が高く中規模オフィスに人気があり、純正トナーは需要が安定しています。
トナー現金化の流れと買取方法の違い
機種入替や移転時に出たトナーを現金化する際には、大きく分けて「宅配買取」「店頭持ち込み」「出張買取」の3つがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、状況によって適した方法が異なります。
最初に結論から言うと、
- 大量の在庫 → 出張買取が便利
- 地方拠点・小規模オフィス → 宅配買取が最適
- すぐに現金化したい → 店頭持ち込み
という選び方が一般的です。では、順に流れを解説していきます。
宅配買取の手順と向いているケース
最も利用者が多いのが「宅配買取」です。
全国どこからでも依頼でき、担当者の負担が小さいのが特徴です。
■宅配買取の流れ
- 買取業者に査定を依頼(型番・数量を連絡)
- 概算見積りが提示される
- 指定の箱にトナーを梱包する
- 未開封か
- ラベルに破れがないか
- 外箱に汚れがないか
を確認してから詰める
- 業者に発送(送料は着払いが多い)
- 本査定 → 金額確定
- 指定口座に振り込み
全国対応でスピード感があるため、企業にとって利用しやすい方法です。
向いているケースとしては、以下の場合が挙げられます。
- 全国に拠点があり、近くに店舗がない
- 数十本程度の在庫をまとめて売りたい
- 移転前で忙しく、外に持ち出す手間を避けたい
特に機種入替で大量に余った場合も、数箱にまとめれば簡単に発送できるため、移転前の慌ただしい時期でも負担が少ない点が評価されています。
店頭持ち込み買取の手順と向いているケース
すぐに現金化したい場合や、急ぎで在庫を処分したい場合には「店頭持ち込み」が適しています。
■ 店頭買取の流れ
- 店舗にトナーを持ち込む
- その場で査定(10~20分ほど)
- 金額に合意後、即日現金化
スピーディで分かりやすく、買取金額も安定しているため、在庫が少ない場合に利用しやすい方法です。向いているケースとしては、以下の場合が挙げられます。
- 在庫が少量(1~10本程度)
- 急ぎで現金化したい
- 近隣に買取店がある
- 梱包が面倒なので、持って行ったほうが早い
移転日が迫っていて「今日中に片付けたい」という総務担当者にも向いています。
出張買取の手順と向いているケース
大量のトナー在庫がある場合に最も効率的なのが出張買取です。
■ 出張買取の流れ
- 型番・数量を事前に連絡
- 業者が訪問日時を調整
- オフィスで査定 → その場で金額提示
- 現地で買取成立 → 現金または振込
梱包や発送が不要なため、大量在庫でも担当者の負担がほぼゼロで済みます。
向いているケースとしては、以下の場合が挙げられます。
- トナーが段ボール数十箱以上ある
- 複数拠点から集約して大量に余っている
- 移転前で早く片付けたい
- 人手が少なくて梱包が難しい
特に機種入替時はフロア単位で大量のトナーが出るため、出張買取の利用率が高くなっています。
買取査定のポイントと注意点
トナーを売却する際、査定額を左右する重要なポイントがあります。ここを理解しておくことで、「同じトナーなのに買取価格が倍違った」ということを防ぐことができます。
高価買取の条件
次のポイントを満たしているほど、高価買取になりやすいです。
1. 未開封であること
純正トナーの外箱に貼られた封印シールが切れていないことが最重要です。一度開封されていると買取不可になることもあります。
2. 外箱が綺麗(ラベル破れ・凹みなし)
・箱の破れ
・水濡れ跡
・強い日焼け
などがあると価値が下がります。
機種入替の際は倉庫で長期保管されていたトナーが出てくることも多く、状態チェックが必須です。
3. 使用期限が残っている
レーザートナーには使用期限が設定されている場合があります。基本的には「製造から数年(目安として3年前後)」とされることが多いですが、メーカーや品番によって異なります。
4. 人気メーカー・現行モデルのトナーであること
Canon、RICOH、富士フイルムなどの主力機種用トナーは高価買取になりやすい傾向があります。
査定時に注意すべき点
査定依頼をスムーズに進めるためにも、次の3点を事前に確認しておきましょう。
1. 型番を正確に伝える
トナーの外箱に記載されている “CRG-○○” “CT202○○” といった型番が最重要です。
2. 数量を把握する
在庫がバラバラになっている場合は、
「メーカーごと」「型番ごと」に分けて数を数えておくと査定がスムーズです。
3. 保管場所(状態)を確認しておく
具体的には、
- 高温多湿の場所で保管していないか
- 長期間倉庫で眠っていたものがないか
- 箱に破損がないか
などです。査定金額にも大きく影響するため、事前確認は必須です。
現金化のタイミングとコツ
機種入替時や移転準備は業務が立て込みやすく、トナーの処分はつい後回しになりがちです。しかし、売却のタイミング次第で査定額が大きく変わることがあります。
以下では、適切なタイミングと現金化のコツを解説します。
オフィス移転・機種入替のスケジュールに合わせた最適な売却タイミング
最も理想的なタイミングは“機種入替が正式に決まった直後”です。
理由は以下の通りです。
■早いほど高値が付きやすい
型番のトナーは、実際に市場から消えるほど価値が落ちていきます。
- 後継機の普及 → 旧機の使用者が減る
- 在庫過多 → 市場価格の下落
- メーカーの保守終了 → 買取不可になる
こうした要因から、入替直後に売るのが最も有利な選択です。
■在庫のまとめ作業に時間がかからない
入替前であれば、在庫がまだ整理された状態のことが多く、
- フロアごとに在庫を集める
- 型番リストを作る
といった手間を削減できます。
現金化をスムーズに進めるコツ
効率よく高価買取を実現するためには、次のポイントが重要です。
1. 社内の在庫を一括で集約する
部署ごとにバラバラに保管されているケースも多く、
「後から倉庫からさらに30本出てきた…」
ということはよくあります。
最初に“全社在庫の棚卸し”を行うと、査定が1回で済む上に、まとめ売りで単価が上がることがあります。
2. 型番リストを作成しておく
買取業者は型番ごとに査定するため、
事前に「型番と数量の一覧」を作っておくとスムーズです。
3. できるだけ早く査定依頼を出す
入替のスケジュールが決まり次第、先に査定依頼をしておくと失敗がありません。
4. 箱の状態を丁寧に保つ
外箱の破れ・汚れは査定金額に影響します。
移転作業中に破損しないよう、早めに梱包するのがおすすめです。
最後に
オフィス移転や複合機の機種入替では、必ずといっていいほど「不要なトナーの在庫」が発生します。廃棄にはコストがかかり、保管してもスペースを圧迫します。しかし、未開封のトナーであれば現金化することが可能です。
この記事で解説したように、
- 在庫が余る原因
- トナーを現金化するメリット
- 買取可能な種類と人気メーカー
- 宅配/店頭/出張の3つの買取方法
- 高価買取の条件
- 最適な売却タイミングとコツ
を理解しておけば、移転直前の慌ただしい時期でもスムーズに処理できます。
特に機種変更が決まったタイミングで素早く動くことが、査定額を最大化する重要なポイントです。不要となったトナーは価値ある資産です。適切な方法で現金化し、移転時のコスト削減や業務効率化に役立ててみてください。

































